“文具王”が教える文房具の魅力

“文具王”が教える文房具の魅力

CGアニメーター 畠田 証

ニュージーランドは世界銀行が今年度刊行した『Doing Business 2005』で仕事のしやすい国世界第一位に選ばれた。そんな国でCGアニメーターとして活躍する畠田証さん。脱サラ、そして海外での就職と、新しい生き方を体現する31歳である。

身近にある自然環境

CGアニメーター 畠田 証

もともとは父親がニュージーランド好きで、何度もこの国に足を運んでいました。その影響で小さい頃からなんとなく気にかかっている国でした。
日本から北海道を取った面積に人口はわずか400万人と、ちょうど静岡県の人口ぐらいですから、ゆったりしていないわけはありません。
私が住んでいる街には海があり、山があり、仕事で行き詰ったらすぐに気分転換できる環境があります。森やビーチを散歩して新鮮な空気を吸い込むと、また新しい発想が浮かんでくるのです。 そんな自然いっぱいの場所だかといって不便なわけでもなく、第一都市のオークランドからは車で約1時間なので日本の食材など、欲しいと思ったものは簡単に手に入れられるし、映画や芝居などにも常に触れていることができるのです。
ただ、ニュージーランドは人口が少ないせいもあって、国自体が非常にシンプルです。娯楽施設があまりないためゴルフや釣りやBBQなど、自分から楽しみを見つけていかなければ、単なる何もない国です。

在外企業へのアプローチ

CGアニメーター 畠田 証

日本では食品会社に勤めていましたが、いつも辞めるキッカケを探しているような素行不良のサラリーマンでした。しかし、そんな生活は長くは続かず、自分の好きなことを職業にしようとコンピューターグラフィックの勉強を始めました。
そしていよいよ就職を考えたとき、初めは普通に日本の中で仕事を探しましたが、実践経験のない人間には門戸は狭くなかなか見つけることができませんでした。そんなときに偶然、ニュージーランドでの募集を知ったのです。
ちょうど、その頃のニュージーランドはピータージャクソン監督が『ロード・オブ・ザ・リング』を撮影していた時で、CGの技術者のほとんどがそのプロジェクトに参加していて、人手不足になっていました。そんな折、ちょうど立ち上げの時期にあった3Dアニメーションを手がけている『huhu Studios』が人を募集していると聞き、本を見ながら履歴書を書き、自分の作品を一緒に送りました。すると、まさかとは思っていたのですが、数週間後に面接の知らせが来たのです。それで、半信半疑のまま飛行機に乗って赤道を越えました。正直に言って英語ができたわけでもありませんから無謀な行為だったかもしれません。面接では相手に何を言われていたのかは覚えていません。とにかく自分はこのスタジオでいい結果を残せる自信があることを強くアピールした結果、ワークビザをサポートしてもらいこの国に来たのです。
余談ですがニュージーランドは今でもCG技術者不足の状況は変わっていません。実際、私が所属するスタジオでも15人いるスタッフの半分は地元の人間ですが、半分はオーストラリア、ロシア、インド、シンガーポール、日本と国籍は様々です。これもやはりピータージャクソン監督が今年自分のスタジオを完成させて人材を募集したこととと、国内ではCGのオペレーターを育てる学校などが不足しているためだと思います。

オンとオフを区別するライフスタイル

CGアニメーター 畠田 証

私がやっている仕事の内容はコンピューターの画面に向かって、アニメーションを作り出すことなので、世界のいろいろなスタジオで行われている作業と大きな違いはないと思います。ではなぜニュージーランドで続けているかと言えば、生活や職場の環境の心地よさがあるからです。
スタジオも自宅も小さな街の中にありますから、通勤時間はわずか3分です。また、職場環境というか習慣が、時間にあまり縛られておらず、何時から何時までの仕事時間ということではなく、自分のノルマをこなせたら仕事が終了なのです。ですからゆっくり出勤することも、早引けすることも可能です。トップの人間自らが「今日は子供を迎えに行かなくてはならないから」と言って早引けしてくれるので、他のスタッフ達も気兼ねすることなく自分の時間が調整できます。私自身は夏になると就業時間を少し早めに切り上げてゴルフや釣りに行ってリフレッシュしています。
私自身、仕事が趣味になっていますので、それ以外のオフの時間は自分の仕事にプラスになるような勉強に当てています。CGアニメーターは人間の細かい表情や動きを表すことが要求されるので、色々な表情が自分自身の中になければ表現することはできません。映画や芝居をたくさん見ることも必要ですが、それだけでは物足りなくなってきています。
そこで、最近ではCM撮影のエキストラに参加して、役者さん達を間近で見たり、自分でも演技をして頭の中の引き出しの数を増やしていきたいと考えています。こういった発想は周りのスタッフとの会話の中で、自然に出てきたものです。ニュージーランドは人口も少なく社会も未成熟なので、まだまだ発展する可能性を秘めています、その分チャンスも多くある国です。ですから、CGアニメーターをしながら撮影のエキストラをして自分の幅を広げることも可能になってくるのです。どんなことでも楽しんで、そして何歳になっても新しいことにチャレンジしていく。それが可能な国がニュージーランドなのです。


プロフィール
1974年生まれ。大阪府出身。脱サラ後、ニュージーランドのhuhu Studioに作品を送りスタッフとして採用されニュージーランドに渡る。ワークビザで渡航、今年5月に永住権を取得。CGのオペレーターは技術者不足の部門であるため、移民局の許可には時間がかからなかったという。